都市伝説

都市伝説とは

都市伝説は、「現代において、口コミで広まっていく伝説」のことです。神話やおとぎ話のような神秘性に立脚する伝説ではなく、何気ない日常の隙間に生まれる奇談と呼ぶべき物語です。「都市伝説」を英語では「urban legend」といい、「フォークロア」とも言います。

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友人たちが集まって行う怪談の中には「これは友達の友達が体験した実話なんだけど……」と言うような前置きをおいた上で語られる話があります。こういった怪談は噂として出回っていることもしばしばです。こういった「伝聞によって広まる『実話』」が都市伝説なのです。

都市伝説の物語的構造とは

都市伝説は、幽霊などが物語の中心を担う怪談とは違い「日常にありふれた物事」が恐怖の対象として中心を担う物語なのです。幽霊などは「科学的に存在が立証されていない、故に怖い」存在ですが、都市伝説の場合は「起こりうる可能性があるだけに怖い」という、日常的な皮膚感覚に則った存在を取り上げるため、広く膾炙されるものと考えられています。

都市伝説の伝播構造とは

都市伝説などを研究するアメリカの民俗学者ハロルド・ブルンヴァンは、都市伝説が広まる過程において「友達の友達(friend of friend)」と言う要素を重要視しています。この「友達の友達」は、「自分の知っている相手が知っている人物、しかし自分は知らない」という曖昧な存在として都市伝説の伝播過程において重要な役割を果たします。「自分の体験談」では都市伝説にはなりえないのですが、「自分が人づてに聞いた体験談」ならば信憑性が生まれ始めるのです。都市伝説が口コミで次々に伝えられていく過程で、「友達の友達」はどんどんとその存在が曖昧模糊なものになっていくのです。

都市伝説が広まる理由とは

都市伝説が今もなお新生し増殖しているのにはどのような理由があるのでしょうか。一つは「人間は根源的な恐怖を克服していない」ことにあります。古代、人は肉食獣などの外敵から身を守るため火を得ました。火は料理や工作に役立つだけでなく灯りとなって暗い夜を照らすことが出来ました。夜の闇とは、命に関わる恐怖の潜む存在でもあったのです。しかし、人間には「スリルを得たい」という本能的な衝動が潜んでいます。このアンビバレンツな本能の組合せが、身近な恐怖を都市伝説として広めていく原動力となっているのです。

都市伝説の分類

都市伝説は、基本的に「噂話」という形で広まっていきます。テレビやラジオ、雑誌やインターネットと昔よりも情報の発信者が増えた現代では、都市伝説は広まるのも早く真相が突き止められるのも早くなっているのです。

体験談

都市伝説の中でも「友達の友達」がもっとも効果的に使われるジャンルです。基本的に全ての都市伝説を包括し、かつ伝播させる過程で使用させるキーワードでもあります。

怪談系

「学校の怪談」や「心霊スポット」、「怪奇現象」などがこの項目に含まれます。体験を元にして発生したものと創作の境目が薄いジャンルともいえます。怪談は好奇心の強いティーンエイジャーを中心にして広まるため、伝播を繰り返すうちに都市伝説に組み込まれやすい性質を持っていると言えます。

テレビ・有名人にまつわる話

昔のテレビはビデオ機材が普及していなかったり、記録が残されていなかったりしたこともあって様々な噂が生み出されました。また、公私にわたって人目に晒されるタレントなどの有名人を巡る噂もたびたび世を騒がせました。こういった噂は真相の確認が難しいために、都市伝説に組み込まれ現代にも残っているのです。

ファーストフード・食品系

食料というものは、思った以上に私たちの生活に深く関わっています。『直接口に入れるもの』である食品や新興勢力のファーストフードには、消費者の恐怖の顕れである都市伝説が付いて回ることになったのです。

薀蓄系

落語の世界では物知りを装うご隠居が与太郎の質問に知ったかぶりで返すという噺が散見されます。それと同じように、薀蓄として伝えられる都市伝説も存在しています。この薀蓄系の都市伝説は、進歩した科学技術に対する不安や知識収拾ブームへの焦燥感などが背景にあるようです。

有名な都市伝説

日本だるま

チェーンメールによって息を吹き返した都市伝説の一つです。「海外旅行中に行方不明になった女性がアジアの奥地で両腕両足を切断され『日本だるま』という見せ物にされていた」というのがこの都市伝説の骨子です。しかし、この都市伝説には原型となるフランスで広まった「オルレアンの噂」という話があります。それがいつしか映画などの影響を受けて変質していったものと考えられます。

口さけ女

1970年代後半に日本全国に広まった噂で、近年韓国に上陸したという有名な都市伝説です。「下校途中の小学生にマスクをした女性が『ワタシ、キレイ?』と話しかける。『綺麗だよ』と返答すると『これでもか!』とマスクを取って襲い掛かってくる」という骨子で、瞬く間に日本全国へと広まっていきました。口さけ女の噂は「正体は美容整形に失敗した女性である」「ポマードが弱点で、好物のベッコウ飴を渡せば襲われない」などの情報と共に流布していきました。口さけ女は、『CIAによる都市伝説などの噂の伝播速度を調べるための実験であった』という説もあるほどに有名な話となっています。

ミミズバーガー

『ファーストフードのハンバーガーに使っている肉は牛肉ではなく食用ミミズである』という都市伝説は幾度と無く否定されながらも現代まで息づいています。『業界用語で鉄板にこびりついた肉のことを「ミミズ」と呼ぶのが広まったため』であるとか、『安い値段で牛肉を提供できるわけが無いので他の肉を使っている』のだとか、その背景は様々です。しかし、食用ミミズを使うとコストは牛肉を上回ると言われているためあまり信憑性が高いとは考えられておらず、同業他社によるネガティブキャンペーンなのではないかとも言われています。この都市伝説を受けてか、「ミミズバーガー」という映画が存在しているのもまた事実です。

ソニータイマー

『ソニー製の電化製品は法定保障期間の一年を過ぎると壊れる』という都市伝説です。日本を代表する電機メーカーであるソニーは、ウォークマンやプレイステーションの大ヒットなどで押しも押されもせぬ存在として消費者に認識されています。しかし、その知名度とは裏腹に製品への不満があることは周知の事実と言えるでしょう。そんなソニータイマーがネット上の都市伝説からソニーの幹部が記者会見の席上で公式に否定するまでに浸透したのには、やはり「大企業としての驕り」に対する反発があるのではないでしょうか。

潜む男

「一人暮らしをしている女性の部屋のベッドの下に包丁を持った男が潜んでいたが、気付いた女性の友人の機転で難を逃れる」、「少女が友人の部屋に忘れ物をしたので取りにいったが電気が点いていなかった。しかし、少女は電気を点けずに忘れ物を回収して帰った。次の日、友人がころされていて『電気を点けなくて良かったな』という書置きがあったことを知らされる」、「親が出かけていて愛犬と夜を過ごすことになった少女が夜に『ピチョン、ピチョン』という音に気付き目を覚ます。怯えてベッドから動けないでいると犬が手を舐めてきたので安心して眠る。朝、部屋のドアを開けると犬が喉を切られてつるされていて『手を舐めるのは犬だけじゃないんだぜ』と壁に書かれていた」など、女性の一人暮らしの恐怖に関連する都市伝説は多く散見されます。しかし、これらは体験談として語られることが多いためか、フィクションにおいて形を変えて登場します。人気ドラマ「アリーmyラブ」ではコメディの要素に使われたり、「ジョジョの奇妙な冒険」でのエピソードに用いられたりと、いささか受け入れる側にとっては食傷の感があります。

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